地下水熱を利用した新しい地中熱利用システム
- 地下水流動下の熱移動を人為的に具現化したシステム「地下水循環型地中採放熱システム:Heat-Gw-Power」を考案。
- Heat-Gw-Powerは地中熱交換機能と地下水の地中還元機能を併せ持つ地中タンクコイル式の熱交換装置。
- 更にオープンループ方式の熱交換とHeat-Gw-Powerを直結したカスケード(CASCADE)タイプを開発。
空気熱源と地中熱源を比べたら
空気熱源と地中熱源を比べたら
冷暖房時の熱源側と需要側の温度差
重要なポイントは、供用開始後の地中熱源温度。
初期温度(15℃)を如何に維持するか。
地下水循環型地中採放熱システムとは
①地中採熱の落とし穴
過度の採放熱でエネルギー効率の低下が生じる。(熱籠り又は熱枯れの発生)
地中熱15℃のMりっとの論議を失う。(地中熱の信頼性が低下)
②熱枯れのない地中採熱の例
地下水流れの存在する場所では効率の良い熱交換ができる。地下水流れ場における熱移動
ただし、人工的に地下水流れを創ることは現実的でない。
③人為的な地下水流れを如何に創る
重力を利用し鉛直方向に地下水流れを人工的に創る
回転の発想
これで地中初期温度≒15℃をキープ
井戸ポンプで揚水した地下水を地表面下で散水し、重力浸透により帯水層に還元する。
地下水の鉛直方向の強制循環経路中に熱交換パイプを敷設
地下水循環型地中採放熱システム(Heat-Gw-Power)と命名
NEDOと共同研究を実施(2014-2018年)
- 地中は地表面における気候変動の影響を受け難く、年間を通じて約15℃と一定で冷暖房の熱源として好適。
- 地中への採放熱により冷暖房運転をするため、地中の温度自体が変化し、熱籠り熱枯れが発生すると熱交換効率が低下。よって、供用開始後の地中温度を、如何に15℃に維持するかが重要。
- ここで、地下水流れが卓越する地盤ではその流動に伴う熱移動が大きく、高効率な熱交換が可能とされている。
- 地下水流れを人工的に創ることは非現実的。そこで、90°回転させ重力を利用した鉛直方向の地下水流れを人工的に創り、その流れの中で熱交換することを考案。
- すなわち、井戸ポンプで揚水した地下水を地表面下で散水し、重力浸透により帯水層に地下水を還元する強制循環経路中に熱交換パイプを敷設し熱交換するシステム。
- これを地下水循環型地中採放熱システム:Heat-Gw-Powerと命名。
更にコストパフォーマンス高めたCASCADE
Heat-Gw-Power基本型
Heat-Gw-Power CASCADEタイプ
オープンルーフ方式
- 更なる高性能化を目指し、独自にカスケード(CASCADE)タイプを開発。
- まず、オープンループ方式で地下水熱から⊿t=5℃を熱交換する。
- 1回目の熱交換を終えた地下水を地中タンクコイル式熱交換器:Heat-Gw-Powerに供給し、2回目として同じく⊿t=5℃の熱交換を行う。
- 2つの熱交換器を直列に連結したハイブリッドタイプで、地下水熱のカスケード利用を実現。
地下水循環型地中採放熱システム® Heat-Gw-Power®CASCADE
地下水循環型地中採放熱システム
Heat-Gw-Power CASCADE
- CASCADE1回目のオープンループ方式ではプレート式熱交換器を用いて1次熱交換を行い、28kwのビルマルAに熱媒を供給。
- CASCADE2回目の地中タンク式熱交換器:Heat-Gw-Powerで2次熱交換を行い、2台目のビルマルBに熱媒を供給。
- これが、Heat-Gw-Power CASCADE。
イニシャルコストが安い
従来の地中熱源システムに比して20%以上削減
ランニングコストが低い
寒冷地空気熱源システム(EHP)、及び従来の地中熱源システムに比して20%以上削減
必要揚水量が少ない
熱採取量が2倍(⊿t=10℃)
確実な地下水還元が可能
⑴ 熱交換器のタイプの新規性
揚水した地下水を散水し、重力浸透により滞水層に還元する鉛直方向の強制循環経路に熱交換パイプを敷設し採熱。
従来型の水平クローズドループ式に比して熱交換パイプの採熱効率を飛躍的に増大して熱交換量を9倍以上にした。
⑵ 還元井代替としての新規性
Heat-Gw-Power®は浸透桝の中に地下水の地中還元機能と採熱機能の両機能を併せ持つ地中タンク式熱交換器。
⑶ プレート式熱交換器と地中タンクコイル式熱交換器をカスケードに連結した独創性
プレート式熱交換器と地中タンクコイル式熱交換器をつなぎ、地下水熱を段階的に2回採取(カスケード方式)する方法
熱源制御盤のモニター
機械室内補機と配管のイメージ
地中熱交換槽に敷設中の熱交換パイプ
地中熱交換槽上部の地下水散水配管
Heat-Gw-Power®CASCADEの実力
冷房運転のパフォーマンス
暖房運転のパフォーマンス
冷房運転における熱媒の温度特性と期間エネルギー消費効率
- 一次放熱の熱交換器Aで熱交換後の熱媒の(HP入口)温度は、16℃から20℃で推移し、ヒートポンプAの期間COPは6.70。
- 二次放熱の熱交換器Bで熱交換後の熱媒の(HP入口)温度は、20℃から26℃で推移し、ヒートポンプBの期間COPは5.84。
- ポンプ類の消費電力を加味したカスケード全体の期間S-COPは4.95。
暖房運転における熱媒の温度特性と期間エネルギー消費効率
- 一次採熱の熱交換器Aで熱交換後の熱媒の(HP入口)温度は、15℃から13℃で推移し、ヒートポンプAの期間COPは3.29。
- 二次採熱の熱交換器Bで熱交換後の熱媒の(HP入口)温度は、14℃から8℃で推移し、ヒートポンプBの期間COPは3.48。
- ポンプ類の消費電力を加味したカスケード全体の期間S-COPは2.92。
Heat-Gw-Power®CASCADEの期間エネルギー消費効率※1
Heat-Gw-Power CASCADEの期間エネルギー消費効率
冷房運転実証期間(実証地:長野市)
暖房運転実証期間(実証地:長野市)
※1 実証方法は、環境技術実証事業 実証要領(環境省)に準拠。
※2 性能値は令和元年度環境技術実証事業実証報告書に独自に実施した追加試験結果を加筆。
「環境技術の実証」とは、環境技術の開発者でも利用者でもない第三者機関が、環境技術の環境保全効果、副次的な環境影響、その他を試験等に基づき客観的なデータとして示すことをいいます。
- 2019年度環境省ETV事業で第三者機関による1年間の実証を受け、2020年6月に環境省よりETVロゴマークが交付された。
- ETV事業の性能評価結果により、2020年12月に2020年度省エネ大賞「製品・ビジネスモデル部門」を受賞。